とりとめもなく
久しぶりに川崎に来た。
夜行バスに乗って大阪に向かう。
家の近くからも出るのだけれど、独立シートのいいやつは、都会からしか出ないのだ。
数ヶ月前に格安の夜行に乗った時、翌日朦朧とした頭で一日を過ごし、激しく後悔した。
だから、いいやつに乗る。
書きたいことがあるのだけれど、今だと変なところに着地しそうで、やめた。
だから、とりとめもなく言葉を紡ぐ。
とりとめもなく、と枕詞を置くと、最果タヒの詩が思い浮かぶ。
地元のネパール料理屋でバイト中に見つけた詩集、最果タヒ『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は作者名と表題は聞いたことがあって、けれど手に取ったことはなかった。
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とりとめもなく突然に、恋をすることはロマンチックで、だから突然、誰かを憎むこと、それもポエジーだって言いたい
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彼女の詩には、死とか憎むとか嫌いだとかかわいそうだとか、そういう言葉で溢れている。
気怠いような気配があるのに、パキッとしていて冬の空気のようだったりする。夏の湿度が高い夜の気配がある。
よくわからないけど、声に出したくなる。
音が綺麗なのか、字面が綺麗なのか。
何度も声に出すのはいくつかの決まったもので、前述の一節は『やぶれかぶれ』という。
全文載ってるから気になる方は検索を。
何でもあって、何にもない街、川崎
数年前、ここに住んでいた頃、友達とそう言っては笑った。
年々おしゃれになるこの街は、全部どこかの成功事例でできてるって思う。
必要なものは何でもある。けれど全部がどこかの二番煎じ。表参道にある雑貨チェーン、渋谷で話題のアジアン料理屋、みたいな。
だから、これが欲しい!がないんだ。
いや、知らんけど。眼鏡なしで歩く街はぼんやりとした、滲んだ色で構成された世界だから、私が気付けないだけで今はオリジナリティある素敵なお店があるのかもしれない。
確かに、スタバで「最強においしいやつあるんですよ!」という接客を聞けるのはここだけかもしれない。
そんなこんなで大阪行ってきます。
日曜日には帰ります。
何をしに行くのか。移動をしに行くんです。
目的地だけある旅がすきだ。
あてもないのは苦手。
細かく決まっているのも苦手。
誰かに会いにいく、でも、
何かを食べに行く、でも、
海を見る、なんかでも、なんでもいい。
一個でいい。そこを目指して移動をする。
歩いて、自転車で、車で、電車で、バスで、飛行機で、寝台列車で、新幹線で、船でそれはその時の気分によるけど。
風を感じながら、あるいはものすごいスピードで、地上からは感じられない雰囲気で、流れていく世界を見る。
とりとめない、とりとめないなあ。
お付き合いくださり、ありがとう。