アラサー女子のジブンさがし

アラサー女子の日常雑感日記です。

『 』

乗り物が、好きだ。


電車も新幹線も寝台列車も飛行機も自転車も車も船も。夜行バスは最近ちょっとしんどいけれど。
近くと遠くで、違う速度で流れて行く景色を、ただただ眺める時間が好きだ。

特に吹きっさらしの移動手段が好きで、だから御蔵島に行く東海汽船の甲板なんて最高で。
海風に晒されながら、ビールを片手にキラキラした水面や遠くを流れる島々を眺める、あの時間。
何度も御蔵に行くのはイルカだけでなくて、あの時間があるからなのかもしれない。

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「社会人」と言われるようになって、気付けば10年以上経った。
社会に出たときに思っていたような未来ではなくって、意に反してフラフラとした10年間だった。

お蔭でいろんな経験もできた、おもしろい人生だと思う。
けれど、やっぱり心の真ん中で、普通の幸せ、と呼ばれるものに強く強く憧れている。

出世。結婚。出産。
役職や妻や母といった新しい役割。

いいな。
純粋に思う。

そんな気持ちでいた3回目の転職の時にカンボジアに行った。
そこで仲良くなった大学生の女の子。
彼女がわたしに言った言葉がある。

「さきさんの生き方は、わたしの理想です」

冗談でも茶化している訳でもなく、真剣だった。
その時、思った。
こんなちゃらんぽらんに見える生き方でも、憧れてくれるような人がいるんだって。
見え方は、ほんとうに人それぞれなんだって。

すごく、うれしかった。

自分のやりたいことって何だろう、と悩んで、自営なのかバイトなのか正社員なのかグルグルとしていたけど、とりあえず生きていけるだけのお金を稼げるところに行こう、と割り切れたのは彼女の言葉があったからかもしれない。

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小田原で営業をしていた時、営業先で急激な腹痛に襲われ、自分で救急車を呼んで病院に運んで貰ったことがある。
搬送先の病院では特に問題はない、と言われたけれど、不安も強くて家の近くの病院に行った。はじめて行く、ちいさな町の病院だった。
先生はちいさな女の人で、問診をして、点滴を受けて、その後もう一度問診があった。
ひと通りわたしの話を聞いて、先生は言った。

「がんばったね」

当時のわたしは、今思うと何でそんなに頑張っていたのかわからないくらい全てに全力で、家族にも友達にも「頑張りすぎないでね」「もう十分、頑張れてるよ」と言われていた。

けど、この時初めて「がんばったね」と、「もういいよ」と言ってもらえた気がしたんだ。
よくがんばったね、えらいよ。

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趣味は何ですか?と聞かれると考えてしまう。
では好きなことは?と聞かれたら、何だろう、海とか自然が多いところに行くことかな。
そして、そう、そこに風があったなら、もっといいな。

風のようにありたい、と思う時がある。
風のように、気の向くままに、いろんな場所を、人を訪れたい。
けれど、そろそろひとところに留まった方がいいのかな、そういう努力をしなければならないのかな、と世間に触れて、思う。
その方が、きっと楽なんだと思う。

もういい加減。
いい歳なんだから。

けど、ただフラフラとしてきた訳じゃない。
自分らしく生きる道を探して、わたしなりに、信念と呼べるほどのものじゃないけど、考えを持ってここまで来た。
結果として提示できるような、形のあるものは今はまだ、何一つないけれど。

そんな生き方に憧れてくれる人がいる。
たったひとり、あの時だけかもしれない。
それでも、そういう子がいた。
それは、十分な形なんじゃないか。
わたし、という作品。

まだまだ未完成で、世間の当たり前とかこうあるべき、という呪いに時に負けそうになるけれど、すんでのところで留まっている。

なんで、戦うんだろう。

自分らしくいられないとおかしくなってしまう性質なのも勿論ある。
けど、最近、もう一つ、思うことがある。

わたしのような生き方に憧れてくれる人が例えばいたとして、彼らが不安になったり心細かったりする時、そっと寄り添える人でいたい。
不安や恐れを吹き飛ばして、そっと背中を押せる、そんな風のような人になりたい。

とても大きな夢だけど、ちゃんと叶えられるよう、地道に愚直に生きていこう。

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