伝えるのが先か、受け止めるのが先か。
思いは言葉にしなくても、伝わるんじゃないかって思ってた。
同じ感覚を持つ人なら、一緒にいるだけできっと感じあえるものなんだって、わかるんだって、そういう人にわたしはまだ出会ってないだけなんだって。
けど、違った。
同じ感覚の人にも、言葉とか、かたちにして、自分の外に出さなければ、自分の思いを、感情を、感覚を、わかってもらうことはなかった。
ただ、違うのは、ちゃんと出せば、辿々しくても、不格好でも、言葉が一転二転しても、受け止めてくれる、ということ。
伝わる、ということ。
伝わるって、こんなにうれしいんだ。
伝わるって、涙が出ちゃうな。
伝わるって、すごく安心なんだ。
伝わったものすべてを、
肯定してくれなくてもいい。
反対の意見でもいい。
ああ、そうなんだね、君はそう思うんだねって、伝わるだけでうれしい。
もちろん、おんなじ方向を向いていたら、それはもっともっとうれしいんだ。
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言葉にしてくれないとわからない。
その言葉が、わたしは多分、この先も好きにはなれないけれど。
言葉にしてくれないとわからない。
その意味は、わかるようになった。
だから、わたしは、伝えたい人には、大切な人には、怖くても、がんばって、本当の言葉を伝えていく。
だって、伝わるとうれしいから。
伝わると、もっと伝えたくなる。
もっともっと話したくなる。
それは、言葉でなくてもよくて。
絵でも、歌でも、ダンスでも、手話でも、点字でも、なんでも。
自分の中にあるものを、勇気を出して表現した時、受け止めてくれる人がいたら、おもしろがってくれる人がいたら、それって、すっごく、うれしいことだと思うんだ。
伝える、受け止める、はふたつでひとつ。
今夜は上弦の月。
満月に向かって、ちょうど半分になる夜。